念珠の房、何色を選ぶ?(アミ紐編)

この記事では、房の色の合わせ方について書きたいと思います。

念珠作りをしたい人の多くがイメージしていることで、「好きな房を付けられる!」ということがあります。

ちなみに、長岡念珠店では、御希望があればお好みの房をつけてオーダーすることはできます。でも、このセンスが結構難しくて、御希望があれば何色をつけてもいいのですが、一応プロの知見でオススメや善し悪しは相談するようにしています。

アミ紐房の色合わせ

房の種類も言い始めと無限に組み合わせはありますので、ここでは、単念珠のアミ紐房に絞ってお話をしたいと思います。

ちなみに市販のアミ紐房の念珠は、特に一世代前になると茶色の紐1色になっていることが多いです。

01単念珠

アミ紐房ってなんの事ですかという方は、上の写真をご覧ください。左側がアミ紐房、棒房と呼ばれる事もあります。
余談ですが、「組紐(くみひも)」と混同している人はいます。組紐とは、糸の束を組んで紐を作る技術のことなので、打ち上がっている紐を編み込むことは組紐ではありません。

このアミ紐房に使えるのは、一般に七印と呼ばれる太さの正絹紐。
唐打という打方の紐で、私たち日本人がもうひとつ見慣れた紐としては、江戸打というのがあります。巾着や布鞄の紐など、日常でもよく見かけるのが江戸打紐です。念珠のアミ紐では江戸打を使うことはなく、唐打が使われます。

また、アミ紐の特徴として、基本的には房として編み込む紐をそのまま玉の中も通してしまいます。ですから、直接は見えないものの、玉の隙間から見える色も、考慮する必要があります。

玉の色に合わせるのが基本

02紐房の基本

たとえば、上の写真の玉は、グラスアイというガラス系素材で、深い紺色です。紐を選ぶ際のメインカラーは、まず紺色でしょう。アミ紐房の場合は、メインカラーが玉の中を通すことになりますので、玉に近い色にすることで、玉の隙間から見える紐も目立たなくなります。

組み方によって2色、3色合わせることも出来ますが、この場合は、薄グレーを合わせています。長岡念珠店では青系の玉の場合、定番の組み合わせです。

03同系色で合わせる

薄グレーの代わりに、青系の別な色を合わせることもできます。同系色であれば、このように少し派手めの色を合わせても違和感なくまとまります。同様にエンジとピンク、茶色とオレンジ等も考えられます。

04モノトーン系で合わせる

薄グレーの代わりに、アイボリーもよく使います。薄グレーを合わせるとクールで都会的な感じに、アイボリーを合わせると柔らかく可愛い印象になります。

05個性の無い色

紐を選ぶ時には、ついつい個性的な色ばかりほしくなってしまうのですが、個性が強い色同士をぶつけると印象がキツくなったり、品がなくなったりします。アイボリー、薄グレー、薄茶色など、単体ではぱっとしない色が意外と重宝します。

木玉の合わせる紐の色

06茶色系同系色

こちらは、欅の玉です。

木玉の場合もやはり、玉の色に合わせていくのが、まとまりやすいです。
上の写真の場合ですと、焦げ茶色をベースに、薄めのらくだ色、落ち着いた橙色を合わせています。

07別な色でも問題無い

木の色は、茶色という色が付いているというよりも、無意識のうちでナチュラルな色と感じますので、いつも茶系にしなくても大丈夫です。玉の色は全然関係ありませんが、このように紫系の濃淡等でも違和感ありません。

08同系の二色なら品のある組み合わせ

3色を上手く組み合わせるのはなかなか難しいですので、茶色の濃淡など2色にしておくと、失敗が少ないです。

様々な色の組み合わせ

09黄水晶の例

黄水晶の時は、もちろん黄色系がピッタリですね。黄色系の紐はそれほど種類が多くないのですが、第一候補に挙げられるのが、この、カラシ色とアイボリーの組み合わせです。

10生命樹トラメの例

こちらは、生命樹の虎目石仕立て。

このように道具(親玉、ボサ、二天玉)だけ素材を変えることを「○○仕立て」と呼びます。
今回は虎目石仕立てですから、紐は虎目石を中心に考えると上手く行きます。

2色の場合はメインカラー+個性の無い色という方法を先にご紹介しましたが、このように大玉で8本足で組んでも良いバランスの場合は3色にもできます。この場合ですと、中通しは生命樹にあわせて深緑の紐を使っていますが、虎目石に寄せた、茶色の濃淡を使っています。紐の色だけで見ると慣例性が無いですが、茶色の濃淡と深緑と、どちらも玉の色に寄せていくことで3色でもチグハグな感じにはなりません。

11紫水晶なら紫系で

例えばこれが、紫水晶仕立てだったら、紫濃淡+深緑という組み合わせもピッタリですね。

12親玉の色とシンプルな色

もうちょっと若々しいイメージにしたい場合は、茶色濃淡の部分を、アイボリーと焦げ茶のようにコントラストを強くします。そうすると、ちょっとお洒落な印象にもなります。カフェの内装にも使われるようなモダンな色の組み合わせです。

13好みで四色様々な組み合わせに

最後は、かなり攻めた色の組み合わせを紹介します。私が自分用に使っている念珠なので、紐が傷む度に気分で色を換えています。
玉の素材は紫金石の大玉。写真だと真っ黒に見えてしまいますが、深い紫色で、光が当たると中にはラメのようにキラキラが見えます。

こういう玉は紫系でまとめるのがセオリーではありますが、あえて、焦げ茶色をメインに通しています。
焦げ茶が強く出ると、全体のイメージが暗くなってしまいますので、どちらも明度の高い、薄グレーと薄紫を合わせて編み込んでいます。
さらに、普通はやりませんが、角編みの最後に青を足し、焦げ茶をのぞく明るい色3色で釈迦結びを作っています。ここまですると、焦げ茶色がメインカラーと言うよりも陰の様な存在になり、明るい色の組み合わせを引き立ててくれます。足の本数は最終的に10本出てきます。

色の話しでは余談ですが、色々とアレンジしても、アミ紐房のばあいは、一つ輪を残すということは基本にしています。

オーダーメイドするもよし、自分で作るもよし。
紐の色にこだわってみるのはいかがでしょうか。

本格的な数珠の作り方がオンラインで習えます!

数珠(念珠)を作ってみませんか?
念珠の学校オンラインでは、長岡念珠店が創業から10年以上かけて積み上げたノウハウを全て公開しています。作り方の動画見放題、質問も無制限です。