念珠の房、何色を選ぶ?(撚房、切房編)

念珠の房の色選びガイド

念珠は仏教において重要なアイテムであり、その選び方には様々な要素があります。特に、房の色は個性を表現し、使用シーンに合わせた選択が求められます。今回は、念珠の房の色選びについて詳しく解説します。

房のタイプと基本的な選び方

房には主に「撚房(よりふさ)」と「切房(きりふさ)」の2種類があります。切房は糸から仕立てるもので、撚房はあらかじめ半完成状態であり、後から軸足を差し込むことで完成します。

ここでは詳しく解説しませんが、市販されている念珠の多くは撚房を使用しています。頭がない房のことを切房だと勘違いしている人もいますが、下の写真の紫色も撚房です。
ちなみに、写真のこの形は「新松房」と呼ばれていて、昭和の頃から変わっていません。主に、人絹(レーヨンで)安価な念珠に使われることが多いです。

市販品の女性向け念珠は多くが紫色の房を採用しています。これは在庫管理の都合からで、紫はさまざまな色合いの玉と調和しやすく、もともと高貴なイメージがあるため無難な選択肢とされています。

14房の場合紫は無難

このサイトは、念珠を作りたい人向けに書いていますが、制作再度の都合を言えば、このように様々形のさらに多くの色の在庫を持つことはとても大変ですよね。
とくに商売にしたい方は、1組ずつ買うと高上がりになってしまいますが、4つの形を10組ずつ10色揃えようと思ったら、それだけで400組仕入れなくてはいけません。

15いろいろな形があるので、在庫大変

色選びの基本

16基本は同系色

房の色選びは、念珠の玉の色に合わせるのが一般的です。たとえば、玉が藤色であれば房も藤色、ピンクの玉にはピンク系の房を合わせることが多いです。

17同系色でも好みに合わせて

同じピンクでも、明るいピンクややグレーがかった灰桜など、微妙な違いがあります。これにより、年齢やシーンに合わせた色選びが可能です。

年齢やシーンに応じた選び方

年齢によっては派手すぎる色を避けたいと感じる方もいるでしょう。しかし、自分の好みで選ぶことが大切です。他人が自分の念珠をどう思うかを気にする必要はほとんどありません。例えば、若い女性がかわいらしいピンク系を選んだとしても、周囲はそれほど気にしないものです。逆にあなたも他人の念珠を見て、「あの人、年甲斐もなく可愛らしい念珠で恥ずかしくないのかしら?」なんて、思ったことはありませんよね。

昔は、嫁入り道具として持たされることも多く、20代で結婚したときに買ってもらった物を何十年も使っている人も多いですよ。
年齢に合わせて、時代や好みによって、修理の度に房の色を換えていくのも良いですね。

職人的な目線で組み合わせる

18親玉にあわせて

木玉とピーモンタイトを使用した「ピーモンタイト仕立て」では、道具(親玉、ボサ、二天玉の部分)の色に合わせて房の色も選びます。ピーモンタイトのピンクに合わせてピンクの房を選ぶと、統一感が出ます。

19黒にグレー

一方、黒オニキスの共仕立(すべて同じ素材で作る場合は「共仕立(ともじたて)」という)では、全てを黒で統一するのは少し重い印象を与えるかもしれません。モノトーンにしたい場合は、黒ではなくグレーを選ぶことで、落ち着いた印象を保つことができます。

20黒に藤色もあう

黒オニキスのように、玉の方がモノトーンの場合は、どんな色の房を合わせても違和感がありません。

21グレーいろいろ

トルコ石のような派手な色にはグレーの房がよく似合います。

上の写真中央はラブラドライトです。グレー系なので、同系色で合わせるパターンです。

22個性が強い同士はNG

右は、ライトブルークォーツのように薄い水色の玉の場合も、白や薄グレーなどのモノトーンの房を選ぶと石の美しさが引き立ちます。

左は水色のトルコ石なので、水色の房はどうでしょうか。
ここは、好みとセンスの問題ではありますが、個性が強い色の玉を使うときは、同系色にするにすると、個性が死んでしまう感じしますね。

23個性が強い同士はむずい

また、さらに、派手な色同士を合わせると主張し合って下品な印象になってしまうので、長岡念珠店では、トルコ石のような元気な色には、グレーや白などのモノトーンの房をオススメしています。

繰り返しになりますが、「それが好み」ということであれば、どの色を組み合わせてもいいのです。

マナーとTPO

仏教的なルールでは色についての特定の規定はありませんが、基本的には好みで選んで問題はありません。ただし、地域の習慣や家族の考え方に配慮することが求められます。
名古屋や金沢周辺の古い習慣では、葬儀は白房と言われることもありました。最近は、そもそも葬儀で念珠を持たない若い人も増えて、その習慣もほとんど無くなってきたように感じます。

また、お店では問題無いと言われて購入したのに、お姑さんにちょっと嫌味を言われてしまったということは、時々聞く事例です。
念珠を買うときには身近な年長者に相談してみると、その後のコミュニケーションも含めて、いい機会になると思いますよ。

実際に何本も持つのは難しいかもしれませんが、例えば、観光寺院を訪れるときやお寺でのお祝い法要、家族の葬儀など、TPOに応じた房の色選びが理想的です。

まとめ

念珠の房選びは個人の好みや使用シーンに大きく依存します。基本的には、玉の色に合わせた同系色を選ぶのが無難ですが、他の色との組み合わせも楽しむことができます。重要なのは、自分が気に入った色を選び、日常生活や特別なシーンで自信を持って使用できるようにすることです。長岡念珠店では、お客様の好みやシーンに応じた色選びをお手伝いしておりますので、ぜひご相談ください。

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