湯のし癖の付いてしまった房の直し方

はじめに

こんにちは、長岡念珠店の長岡慶一郎です。

今回は、「癖の付いてしまった房を、蒸気を当ててきれいに伸ばす方法」についてお話しします。

この作業は「湯のし」と呼ばれ、保管や使用の際に房がくしゃくしゃになってしまった場合に行います。自分で念珠を作っている方や、房が癖づいてしまった方にとって、この技術は非常に役立ちます。さっそく、湯のしの方法を見ていきましょう。

湯のしをする前

湯のしを始める前に、房がどのような状態かを確認しましょう。以下のような状況で房が癖づくことがあります。

  • 長い間、念珠袋に入れっぱなしだった
  • 喪服のポケットに入っていた
  • 作った念珠が完成したとき

このような場合、房がくしゃくしゃになってしまうことがあります。そこで、湯のしを行い、房を元の美しい状態に戻しましょう。

頭房の湯のし

まずは頭房の湯のしから始めます。手順は以下の通りです。

  1. 準備:ヤカンや鍋でお湯を沸かします。どんな鍋でも構いません。
  2. 蒸気を当てる:沸騰したお湯の蒸気の上で房を揺するようにします。これはスチームアイロンの原理を利用しています。
  3. テンションをかける:癖が強くて戻りにくい場合は、糸を少し引っ張るようにしてテンションをかけながら蒸気を当てると、きれいに伸びます。

注意点

  • 火傷に注意:蒸気は非常に熱いため、火傷しないように注意しましょう。
  • 火に注意:作業している房とは反対側が火に当たらないようにし、ガス台付近の油汚れなども付けないように注意しましょう。

湯のし前後の比較

湯のしを行うと、少しの作業で見違えるように房が整います。ただし、長時間蒸気を当てすぎると、房を止めている糊が溶ける可能性があるので、なるべく短時間で手早く作業しましょう。

紐房の湯のし

略式や禅宗型の念珠でも使われるアミ紐でも、湯のしを行うことができます。房と同じように蒸気の上で揺らして癖を取ります。

テンションをかける

紐の場合は引っ張りやすいので、テンションをかけたまま蒸気を当てると、よりスッキリと伸びます。

ヤカンの口を使う方法

ヤカンの口が細い方がピンポイントに蒸気を当てられるので、ヤカンの蓋を閉めて口から出る蒸気を使うのも良い方法です。また、タジン鍋も口が細くなって作業しやすいです。

湯のしの完成

湯のしは簡単な作業ですが、最初の状態と比べると大きく印象が変わります。房を交換したいと修理依頼をする方の中には、実は湯のしをすればほぼ新品のようにきれいになるというケースもあります。日頃のお手入れの一環として、ぜひ「湯のし」をやってみてください。最後に、くれぐれも火傷には注意してください。

これで、癖の付いてしまった房をきれいに伸ばす方法の紹介を終わります。次回もお楽しみに!

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