糸の種類の使い分け
紐の種類
正絹紐(七印、四印)
日本の紐は大きく分けて「唐打紐」と「江戸打紐」の2種類があります。このうち、念珠に使われるのは「唐打紐」と呼ばれるもので、編み目が細かいため一本の紐のように見えます。しかし、実際には極細の糸が無数に編み込まれています。念珠用には、和風の落ち着いた色だけでなく、2色以上を編み込んだものや現代風なカラフルなものもあります。ただ、派手すぎる色は減少しています。
念珠に使われる唐打紐の太さは七印と四印の2種類があり、一般的には七印が使われます。
アミ紐房
アミ紐房は略式の男性用としてよく使われます。基本的な使い方としては、玉の中もすべて通しますが、一般的な使い方で通らないほど穴が小さい場合は、玉の方を加工して穴を広げることが理想です。しかし、最近では女性向けのサイズの小さい玉でもアミ紐を使いたいというリクエストがあり、その場合は玉の中にナイロンの中糸を通して正絹紐に繋ぐこともあります。テグスを使う人もいますが、質感や実用性が劣るため、長岡念珠店ではテグスを使用しません。
その他の紐房
略式(単念珠)以外にも、禅宗型(曹洞宗、臨済宗)や浄土真宗の布教念珠でもこの紐が使われます。真言宗の五大力念珠では、五色の四印の紐が使われることもあります。
中糸(ナイロン、ポリエステル)
房付きの単念珠や女性向けの双輪には、主にナイロンの中糸が使われます。これは玉の中を通すための糸で、ふわふわした綿のような素材(「ウーリー」とも呼ばれます)を2つの束に撚って1本にしてあります。伸縮性があり、仕立ての際に玉の隙間なくきっちりと仕上げやすいです。柔らかい素材なので折れる心配もなく、耐久性も良好です。長年使用するとすり切れてきますが、徐々にほつれてくるため修理のタイミングが分かりやすいのも利点です。
仮すげ用の仕分けの糸は、あくまで仕分け用であり、仕立てに使用するものではありません。
手縫い用の正絹糸
房と玉とを繋ぐ軸足の部分には手縫い用の正絹糸が使われます。
業務用に紙管巻きになったものもありますが、手芸店で手に入る「オリヅル」や「金亀」等のブランドのものが使いやすいです。うちでも全ての色が業務用を使っているわけではなく、使用量が少ない色については、市販の80m巻きを使っています。
単念珠の場合は、玉を通した中糸と合わせて正絹糸を編み込みます。通常は房と同じ色の糸を使うと落ち着いた仕上がりになります。例えば、中糸が白で房が紫の場合、軸足は白と紫が交互に見えるような編み方になります。これを「丸四つ編み」と呼びます。
各宗派の本連や振分念珠では、軸足を正絹糸のみで編み込みます。基本は単色ですが、工夫次第で2色以上の編み込みも可能です。
長岡念珠店では、これらの細かな違いを理解し、最適な糸を選んで念珠の製作や修理を行っています。糸の選び方一つで、念珠の美しさや耐久性が大きく変わるため、細部にまでこだわって製作しています。
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